雨、時々すばる

底辺私文生がお送りする、限りなく意識の低い読書録。

『すごい言語化』を読んで

 

概要

 

言語化コンサルタントの木暮によると、どんな言葉を使うかによって、その後の思考や行動、そして結果が変わるという。

木暮曰く、あらゆる問題は言語化されていないから起こるとされている。また、言語化能力はセンスではなく、考え方を身に着ければ誰もが自分の脳内を言語化することができると述べられている。

 

本書では、「そもそも言語化とは何か?」という問いから「自分の感覚」や「意味のある言葉」を言語化する仕組みまで解説されている。

 

言語化能力をうまく使いこなし、人生をよりよく豊かにする方法が、本著を読むと理解できるかもしれない。

 

まとめ

 

木暮は、言語化するための法則について、「PIDAの法則」として解説している。

 

P 目的の整理 自分は何のために言語化したいのかを考える

例 高単価でも買ってもらえるようにする

 

I 項目を選定する  何を伝えれば明確に言語化できるかを考える

例 1自社商品の品質の高さと他社商品との差別化のポイントを伝える

 

D その項目を定義する その項目はどういう意味なのかを定義する

例 品質の高さとは→信頼できる会社が製造していること

他社との差別化とは→顧客が抱える他社商品の不満を解消していること

 

A その定義が伝わる表現に当てはめる 意図した定義が伝わるフレーズを使う

例 品質の高さを伝えるために、故障率の低さを表現

→差別化を伝えるため、顧客の不満を解消していくことを伝える。例えば「従来の商品に見られたマイナスポイントを解消しています」と説明するなど。

 

また、木暮はビジネスの言語化について、五段階の項目を述べている。ここで焦点を当てているのは「伝えるべき項目」であり、以下の五段階に集約される。

 

提供する価値の言語化

 

まず価値とは何か?について定義し、言語化する。たとえば、「この商品を使えば、あなたができなかったA→Bの変化が得られる」など。

 

また、自分のテンションが上がるものも価値の一つに入る。ほかにも、その商品に対する異様なまでのこだわりに着目するのも良いだろう。

 

・他社との差別化の言語化

 

私たちが他社との競争になってしまう理由として、ライバルの商品に着目したり、ライバルの商品について研究したりしてしまうからがある。

しかし、本来顧客が欲しているものは「あなたしか提供していない商品」ではなく、「顧客自身が欲している商品」だ。自分がオンリーワンかどうかの前に、それを相手あるいは顧客が望んでいるかを考える必要がある。

 

差別化とは「ほかの商品との違い」または「ほかの商品と比較して優れている点」ではない。「他社商品では手に入らない(できない)けれど、自社の商品では手に入る、それができる」物事を言語化して相手に伝えることである。

 

言葉にしなければならない要素「相手の目的」「その目的が他社商品で手に入れられない理由」「その目的を自社商品がかなえられる理由」を明確にし、定義するとよい。

 

顧客の願望は提供者が言葉にする必要があり、そして願望を言語化することができたら、顧客はその言語化された商品を差別化して認識できるようになる。

 

自社の信頼性の言語化

 

信頼性を相手にわかってもらうために、以下の要素に目を向けるとよい。

 

①これまでの自社実績、成功事例

②自分がその商品を世に広めたい理由

 

価値が提供される理屈の言語化

 

価値を言語化するだけではなく、その価値がどのように実現されるかについても言語化する必要がある。

 

相手に取ってもらいたい行動の言語化

 

「その行為は数値化できているか

「その行為は、誰が見ても、どんな行動をしているかわかるか

「その行為は、誰が見ても同じ行動だといえるか

「その行為は、誰が見ても何をどうするか明確になっているか

について考え、それぞれ言語化する。



以上について気を付ければ、伝えたいことを明確に言語化できる確率が上がるだろう。

 

感想

 

この本を読んで、自分の利益ではなく、相手の立場になって商品をアプローチすることが重要であるとわかった。

まず自分たちが売りたいものではなく、自社の商品が相手のどんな課題を解決するのか、どんな困った状況を改善できるのか言語化できないといけない。だからこそ、最初に価値を言語化する必要があるという考え方は目から鱗だった。

 

また、「なぜ?」を繰り返しても本質は見えてこないという考え方も参考になった。

 

ある問いに対して「なぜ?」を繰り返していくと本質にたどり着く。そのように一般的には言われている。しかし、正しく問いを立て続けるのは難易度が高く、本質にたどり着けないことも多いと本書では述べられている。

 

問いがうまくいく理由として、物理的な物事やトラブルが目の前にあり、考える対象が絞られていたからだという考えは非常に参考になった。

問題やトラブルの原因の中で、妥当なものに焦点を当てなければ、考えを問い続けたところで無意味であるという意見は斬新だった。

 

本書では言語化についての定義や価値などが記されており、ほかにも「起承転結では語らない」「自分の不安と期待に目を向ける」など、特にビジネス場面で有意義な内容が本書には盛り込まれている。

 

興味のある方はぜひ読んでみることをお勧めしたい。

 

出典 木暮太一『すごい言語化ダイヤモンド社 2023年6月