雨、時々すばる

底辺私文生がお送りする、限りなく意識の低い読書録。

『伝え方が9割』感想・まとめ

 

概要

『伝え方が9割』は、コピーライターの佐々木圭一さんという方が執筆された、コミュニケーションに関わる書籍である。

元々文章を書くことが苦手だったらしい彼が紆余曲折しながらも発見した、「伝え方についての技術」が、本書にはふんだんに盛り込まれている。

 

 

まとめ

伝え方のヒントは、主に3つある。

一つ目は「自分の頭の中をそのまま言葉にしない」こと。

自分の頭の中をすべてストレートに伝えても、良い意味でとらえられる可能性は高くないからである。

 

二つ目は「相手の頭の中を想像する」こと。

自分のお願いやメリットを一旦頭の片隅に置き、相手のメリットについてよく考えてみる。

 

三つ目は「相手のメリットと一致するお願いをつくる」ことだ。

 

たとえば「図書館が好き」「本をたくさん読みたい」と思うAさんがいたとする。彼氏であるBさんはストレートに「デートにいきたいです」と言っても、それはBさんのメリットでしかない。

 

そこで、Aさんの好きなことを推測する。今回は「図書館に一緒にいって、本をたくさん読みませんか」と話すとする。

 

余程のことがない限り、Aさんは「よろこんで」と言うだろう。となれば場所は図書館になるが、AさんとBさんのデートは約束される。図書館に行けて本がたくさん読めて嬉しいAさんと、Aさんと一緒にデートに行けて嬉しいBさん。

 

このように、お互いのメリットを見つけて伝え方を工夫すると、よい結果が得られることもある。

 

そして、伝え方の工夫として以下のものが挙げられる。以下の工夫を使うことにより、相手がお願いを呑んでくれる可能性が高くなる。

 

相手の好きなこと……自分の求めることをストレートに言うのではなく、相手の好きなことや興味から作ることにより、相手に「OK」をもらいやすくなる方法。

 

嫌いなことの回避……相手がして欲しくない、いやだと思うことを想像する。「○○は嫌いでしょう。だからやらない選択をしましょう」という切り口。

 

選択の自由……二つ以上相手の好きなことを挙げ、それについてどれが良いか選んでもらう。

 

認められたい欲……相手の認められたい欲を刺激する方法。「下田さんの文章はすごい刺さるんだ。企画書についてもお願いしたいんだけど」等。

 

あなた限定……「あなた」を対象に、お願いする。たとえば「山田さんだけでも教えたいんです」など。

 

チームワーク化……お願いを相手任せにするのではなく、自分も一緒になってやり遂げる。

 

感謝……感謝を述べる。「いつもありがとう」は最大かつ最高の言葉。

 

そして、強いコトバについても本書では述べられている。

 

工夫として伝えたい言葉を決め、それに即したサプライズワードを付け加えるサプライズ法。

「そうだ~」「ほら~」「びっくり~」など。

 

正反対のキーワードを伝えたい言葉の前に置くギャップ法。

 

身体の反応を言葉に加える赤裸々法。

 

同じ言葉を繰り返すリピート法

 

「ここだけの話ですが~」「これだけは伝えたいのですが~」など、いきなり伝えたい話を入れず、クライマックスワードをワンクッション置いて話すクライマックス法などがあり、うまくいけば伝え方ひとつで大きく人々の心を動かすこともできる。

 

あまり書くと盛大なネタバレになるので内容についてはここまで。

ただ、本当に参考になる内容ばかりなので、更に詳しく知りたい方は本書を読了していただきたい。

 

 

感想

一番目から鱗だった内容は「相手の頭の中を想像し、相手に対するメリットを推測する」ことだ。

 

今まで自分は、誰かにお願いをする際自分のことしか考えておらず(どうしたら相手にお願いを受け入れて貰えるのだろうか……)等と考えていただけだった。

 

しかし、自分のメリットしか考えていなければ、相手も「何だなんだ」と身構えてしまう。

 

自分のお願いに対して相手がどう考えるか、そして普段は相手が何を考えているのかを予めしっかり想像し、相手の好みや興味に即した声かけをしていくと良いことが、本書の中で一番腑に落ちた部分である。

 

結局のところ、コミュニケーションは相手あってこそ成り立つのだろう。だからこそ、自分のメリットだけでなく、相手も自分もwin winになれるような切り口からお願いすると、スムーズに話を聞いてくれるのではないかと思う。

 

相手の立場になって視点を変えてみるのは、一番簡単・シンプルなようで、じつは一番大切なことだと考えさせられた。

 

勿論対大人としてではなく、特に「強いコトバ」をつくる5つの技術に関しては、子育て中にお子さんに声かけする際にも使えそうなキーワードもふんだんに含まれていた。

そのため、今後子どもと関わる機会があれば、積極的に工夫して声かけをしてみたい。

 

参考文献 佐々木圭一『伝え方が9割』ダイヤモンド社 2013年2月