雨、時々すばる

底辺私文生がお送りする、限りなく意識の低い読書録。

『語学の天才まで一億光年』を読んで

 

概要

 

学んだ言語は25以上の筆者が記す、語学青春記。

取材に行く前に必ずその地域の言語を学ぶ著者。本書ではネイティヴに習う、テキストを自作するなどユニークな学習法も披露。

 

言語とは何か。深く楽しく考察し、自動翻訳時代の語学の意味を問う一作。

(前書きより作成)

 

まとめ

 

筆者はインド、アフリカ、ヨーロッパ、南米、東南アジア、中国をめぐり、現地の人々と交流し、様々な体験をする。

リンガラ音楽に触れたり、フランス語に奮闘したり、女学生に囲まれてタイ語を学習したり、言語のワ語を教えたり……

 

筆者は言語を通して、「人間はみな同じなんだな」「言語はみな美しい」と思うようになったそうだ。

 

その理由が、本書を読了後、わかるかもしれない。

 

感想

 

最近、久々に語学の勉強を再開した。と同時に、この本に出会い、深く感動した。

 

様々な言語を直接学び、現地の方と打ち解けてコミュニケーションをとる著者の姿は、まるで「世界に関わる人」としての先駆者のように思えたからだ。

 

インターネットもスマホもない時代、ありとあらゆる手段で、人びとと関わろうとする筆者の行動力と情熱には見習うものがある。

 

一つの言語だけにとどまらず、沢山の言語に触れる姿もまた、国際化する社会に生きる現在の人々が見習うべき一つの目標となるだろう。

 

本著の中に「もっと一つ一つの言語を地道に学習すればいいと自分でも思う。でも私は(省略)次から次へと新しい言語をつかまえては習って現地の人と話してみたくなる。」と書かれている。

 

しかし私は、その彼の性格こそが、本書に書かれたフィクションのような体験を成し得たのではないかと考える。

 

仮に一つの言語のみ学び続けていたら、一つの価値観にとらわれ、固執してしまっていたかもしれない。

彼の「人間はみな同じ」という一見単純なような価値観は、様々な人びとと関わり、景色を実際に体験し、言語を学んでいったからこそ培われたものだと私は思う。

 

しかし私は、人生の中で海外に留学したことはおろか、海外へふらっと行った経験すらほとんどない。

 

しかも、恥ずかしながらセンター試験の英語では散々な目にあい、暫く語学はお休みするつもりで今日まで過ごしてきた。(をいをい……)

 

著者の生き様を本越しに眺め「このままでは自分、今後の国際化社会の波に置いて行かれそうな気がしなくもないな」と実感した。

何も、語学学習とはただ教科書や単語帳を眺めるだけの机上の勉強だけではない。

現地の方やその国に住んでいる人々とコミュニケーションを取り、日常生活や歴史や価値観を学ぶことも含めて「語学学習」と言えるのではなかろうか。

 

本書を読み、改めてそう思いつつも、中々習慣化してしまった机上のみの勉強を辞められない自分であった。

 

何時になったら難なくコミュニケーションを取れるようになることやら。

とほほ。

 

出典 高野秀行『語学の天才まで一億光年』集英社インターナショナル 2022年9月

『否定しない習慣』を読んで

 

概要

 

私たちが知らず知らずのうちに行っている「否定」という行為。

しかし、相手のことを思うために否定してしまうと、自己肯定感が持てなくなったり、信頼関係が失われたり、やる気が出にくくなったりするなど、人間関係や日常生活に悪影響を与えてしまう。

 

本書を読むと、否定しない技術を用いて、より良いコミュニケーションを行うヒントが得られるだろう。

 

 

まとめ

 

否定は悪意のないところに存在する。

 

たとえば子供の将来を想って「夢を追い続けるより現実を見なさい」と両親が発言するとする。

しかし、上記のような否定は、たとえ悪意が一切なくても、人間関係を悪化させる恐れがある。このケースでは、子どもの自信や自己肯定感がなくなってしまうおそれがあるのだ。

 

もし、否定せずに人間関係を構築出来たらどのようなメリットがあるだろうか。

たとえば、「自信が持てる」「自己肯定感が上がる」「ポジティブな気持ちが生まれる」などといったメリットが挙げられる。

 

それでは、メリットを得るためにも、否定しないマインドを作るために何を心がければよいだろうか。

筆者は以下の三つの点を挙げている。

 

・事実だから否定してもいいという思考はしない

 

正論は使い方を間違えれば、相手を傷つける凶器になる。

正論を言われた相手がどのような気持ちになるのかを考え、想像することが否定しないマインドを作るための第一歩となる。

 

・自分は正しいという思考はしない

 

意見の違いを多様性として認められるかを考える。

「大人の関係性における問題や課題の約70パーセントには、明確な答えは存在しない」と言われている。

そのため、正しいか間違っているかを議論するのではなく、目的を共有することを第一に意見を交わすことが大事である

 

・過剰な期待はしない

 

仮に部下や同僚に期待して、うまくいかなかったとしても、その人なりに精一杯やっているという事実を認めることも大事である。

 

そして、本書では否定しない技術についても述べられている。

 

・イエス・エモーション話法

 

相手を認め、その後自分の感情を表現する。

 

能動的に黙ることを覚える

 

言葉を返す前に、いったん黙って会話のブレーキを踏む。

 

・相手の言葉をナレーションする

 

「~ということを考えているんですね」などということにより、相手が「自分の言葉をちゃんと聞いてくれた」と思うようにする。

 

・「かもしれない」をつける

 

断定的に決めつけるのではなく、語尾にかもしれないと置き、一旦思い込みを捨てる。

 

さすが~と加える

 

さすが~と会話に付け加えることにより、会話がよりスムーズに進みやすくなる。

 

上記のポイントを取り入れると、否定する気持ちが少しずつ減っていくだろう。

ではもし、誰かを否定してしまったらどうすればよいだろうか。

筆者は本書で、万一否定してしまったケースについても触れている。

 

一つの例として、「自分が否定してしまった場面」など、客観的な事実だけに集中して、丁寧に振り返ってみることを挙げている。(ここに主観や感情は入れないほうが良い)

振り返る際、以下のポイントを抑えると良い。

 

・何が起こったか

・何はうまくいったか

・何がうまくいかなかったか

・相手をなぜ否定してしまったか

 

↑をそれぞれ振り返ると、答えがおのずと見えてくるかもしれない。

 

そのほか本書では、「6行会話メゾット」「オンザチェアーメゾット」「相手の話を引き出す合いの手フレーズ」「強い意見を伝える会話術」「会話を建設的にする質問法」など、否定しない習慣にかかわるメゾットが沢山挙げられている。

 

気になる方はぜひ、本書を読んでみることをお勧めする。



感想

 

昨今のSNS、現実社会問わず「~すべきだ」「正論こそ正義」「間違いは徹底的に潰そう」と言わんばかりの人間関係に辟易してきた方も多いのではないだろうか。

 

自分を棚に上げて正論を述べる人間のなんと多いことか。そのように思われる方も多いだろう。決めつけもまた、同じである。

 

私もそのような人間の一人だった。「自分はそんなに正しいのか?」「べきべき言うが本当にほかの選択肢はないのか」私は常に自分の意見が本当に正しいのか疑問視しているタイプの人間だったので(流石に私のように度が過ぎてしまうのも問題だが)中々考えを理解されずに過ごしてきた。

 

また、自分は考えすぎなのではないかと悩む日も多かった。

 

そんな中偶々この本に巡りあい、同じような考え方を持っている方がいらっしゃるのだと感動した記憶がある。

 

まさに日々心がけている「他人の意見を否定しない」「正論は時として凶器になる」等の否定しないためのマインドを、をアドバイスとして取り入れていたからだ。

 

かくいう自分も、他者を否定こそしないものの視野が狭くなることは多い。なぜなら主観的になり過ぎてしまうからだろう。

そこで本著の「別の視点から物事を観察する」行動を心がけてみたいと思う。

 

ただ、以上のことを心がけても、人間関係はそううまくいかないこともある。

 

今後も本著で述べられているポイントを心がけて、少しずつより良い人間関係を築いていきたい。

 

出典 林健太郎否定しない習慣』フォレスト出版 2022年12月

『キミが信頼されないのは話がズレてるだけなんだ』を読んで

 

概要

 

会社や日常会話でのコミュニケーションをする際、誰しも会話がずれることがあるだろう。

 

しかし、会話のずれが思わぬトラブルを招くこともある。

円滑なコミュニケーションは相手あってこそ成り立つ。本書では、話のずれを修正して、実践してみることを目的としている。



まとめ

 

著者曰く、話がかみ合わない理由は、主に3つの理由がある。

 

・反射

 

相手の話を聞いた後、反射的に答えてしまうこと。わかりました!はその一例。

 

予防策として「明日の四時までですか?」「部長に伝えますか」など、具体的な確認をするとよい。

 

また、「たとえば○○でしょうか」「具体的には×ということでしょうか」等と話の内容が明確になるまで確認してみるのも方法の一つだ。

 

・思い込み

 

たとえば仕事に役立つ勉強は何かわかるか。と質問されたとき、「もちろん、わかってます」と答えてしまう場合。

聞き手が分かっていると思い込んでいるから、お互いの認識がずれていても中々確認できない。

 

予防策として、最後まではっきり話しきること。そして「いろいろ」ではなく、細かく漏れなく具体的に話すと効果的。4w2hの質問を心がけてもよい。



・知識不足

 

たとえば「アサイン」という単語を使い質問しても、聞き手の知識不足で何を伝えようとしているのかわからなかったり、聞き間違いをしてしまったりする場合がある。

 

予防策としては、相手の頭の中を意識し、相手がわかるであろう言葉を推測して話すこと心がけると良い。

 

ここまで3つの会話のズレに関わるパターンを見てきた。

更に認識のズレをなくすには、どうすればよいだろうか。本書では、以下パターンを習慣化することを推奨している。

 

その場で確認

具体化する

・会社の常識はメモする

・相手の述べたことを復唱し、話を明確にする

・相手のスタンスを確認する

・気になるところがあれば、ちょっとメモしていいですか?と尋ねる

・相談しづらい雰囲気であれば、雑談でいったん空気を温めておいて、後から相談する

この、その、あの、などは極力使わない

結論を最初に話す

・自社の情報を漏れなくチェックする

・5w2hの質問を定期的に行う。たとえば「いつ、なぜ、どのように、どのくらい、だれ、なに、どこ」を適宜確認

 

また、本書では、話が脱線しやすい人におすすめのズレを改善する方法も掲載されている。

 

たとえば、PREP法である。この方法は説得力のある話し方として有名な方法である。

 

P(論点)「こうなんです

R(理由)「なぜかというと、こうですから

E(具体例)「たとえば、こんなことがありました

P(論点)「だから、こうなんです

 

以上の順序で会話を心がけると、内容が論理的に伝わりやすくなる。

 

そのほか、提案する際には以下のDESC法を用いるとよい。

 

D(描写)「こんなことがありました

E(説明)「このままだとこうなります

S(提案)「こうしたらいかがでしょうか

C(結果)「こういう結果になります」

 

以上の方法を生活に取り入れ、習慣化することにより、会社や日常生活での会話のずれが減り、コミュニケーションが円滑に進みやすくなる。

 

感想

 

私も思い返せば、「何を伝えたいのかわからない」「話が脱線してるよ」と何度言われたことだろう。(笑)

確かに、日常会話では話が脱線してもあまり困らないものの、会社の上司や同僚、そしてお客様などに回りくどい説明をしていては埒が明かない。

そんな「話題ずらし王」の私にとって、本書の内容は常時心がける必要があると感じた。

 

特に「ごもっともです(笑)」と感じたところは「こそあど言葉をなるべく使用しない」という部分。

 

私は記憶力が残念だからという理由もあるかもしれないが、「あ~あれだよ、あれ」「その話題よくない?」のように頻繁に使用してしまう。

「あれ、それ」では相手に伝わりづらいため、今後は気づいた際にでも、具体的な内容に置き換えて使用してみようと思う。

 

出典 横山信弘『キミが信頼されないのは話がズレてるだけなんだ』すばる舎 2023年3月

『伝え方が9割②』感想・まとめ

 

概要

以前紹介した佐々木さんの『伝え方が9割』の続編。

 

前著をさらにかみ砕いて解説。続編の本著で新たに追加された技術も掲載されている。

 

本書はワーク形式なので、肩ひじ張らず気軽に読める。いつでもポケットやカバンに入れて持ち運べる伝え方のレシピシート付き。

言葉の具体例が多く、場面を想像しやすいので、多くの方におすすめの書籍である。

 

まとめ

伝え方のコツの一つを紹介する。

 

たとえば、Aさんは道路を渡ろうとする際、子供に対して「危ないから、手をつないで」といっても「いや」と言われるばかりだった。

 

しかし、「私一人だと危ないから、一緒に手をつないでくれない?」と子供を大人扱いすると、その子は喜んで手をつないでくれたという。

これは、子供の認められたい欲を逆手に取った伝え方といえる。

 

このように、伝え方ひとつで生活やコミュニケーションが大きく変化することがある。

 

本著では、前著で述べられていない新たな伝え方のコツを3つ紹介している。以下に紹介されている方法を簡単に解説した。

 

ナンバー法

 

数字を言葉に入れると、それだけで説得力が増す原理を応用。数字が入ると、圧倒的に目を引くことから取り入れられた。

 

 ひとつぶ300メートル

  銀河鉄道999

 

合体法

 

じつは、世の中にあるもののほとんどが「2つのものの組み合わせ」で生まれている。

たとえば「壁ドン」「ポケットモンスター」など。

 

作成の方法として、まず軸になる言葉(例、たこ焼き)を選び、別軸の言葉(例、ここでは「大きい」の言い換えである、巨大、野球ボール、男の、重量級)の言いかえをたくさん出す。

その後、それらの単語を組み合わせる。(例、重量級たこ焼き)

 

頂上法

 

一番になるものに対し、人は注目する原理を応用。

「店長イチオシ」「ラ王」「私ミシュランで星三つ」など「一番である」ことを前面に押し出す方法。

 

感想

前著の内容も興味深いものばかりだったが、本書も対話形式で伝え方を知ることが出来、読みやすく引き込まれる内容だった。

勿論自分の子どもだけでなく、友人間や職場の上司などに対しても伝え方を工夫すれば、コミュニケーションがよりスムーズに進みそうだと改めて思った。

 

私も友人と会話する際に、本書の内容を少しずつ取り入れてみたい。

 

出典 佐々木圭一『伝え方が9割②』ダイヤモンド社 2015年4月

『すごい言語化』を読んで

 

概要

 

言語化コンサルタントの木暮によると、どんな言葉を使うかによって、その後の思考や行動、そして結果が変わるという。

木暮曰く、あらゆる問題は言語化されていないから起こるとされている。また、言語化能力はセンスではなく、考え方を身に着ければ誰もが自分の脳内を言語化することができると述べられている。

 

本書では、「そもそも言語化とは何か?」という問いから「自分の感覚」や「意味のある言葉」を言語化する仕組みまで解説されている。

 

言語化能力をうまく使いこなし、人生をよりよく豊かにする方法が、本著を読むと理解できるかもしれない。

 

まとめ

 

木暮は、言語化するための法則について、「PIDAの法則」として解説している。

 

P 目的の整理 自分は何のために言語化したいのかを考える

例 高単価でも買ってもらえるようにする

 

I 項目を選定する  何を伝えれば明確に言語化できるかを考える

例 1自社商品の品質の高さと他社商品との差別化のポイントを伝える

 

D その項目を定義する その項目はどういう意味なのかを定義する

例 品質の高さとは→信頼できる会社が製造していること

他社との差別化とは→顧客が抱える他社商品の不満を解消していること

 

A その定義が伝わる表現に当てはめる 意図した定義が伝わるフレーズを使う

例 品質の高さを伝えるために、故障率の低さを表現

→差別化を伝えるため、顧客の不満を解消していくことを伝える。例えば「従来の商品に見られたマイナスポイントを解消しています」と説明するなど。

 

また、木暮はビジネスの言語化について、五段階の項目を述べている。ここで焦点を当てているのは「伝えるべき項目」であり、以下の五段階に集約される。

 

提供する価値の言語化

 

まず価値とは何か?について定義し、言語化する。たとえば、「この商品を使えば、あなたができなかったA→Bの変化が得られる」など。

 

また、自分のテンションが上がるものも価値の一つに入る。ほかにも、その商品に対する異様なまでのこだわりに着目するのも良いだろう。

 

・他社との差別化の言語化

 

私たちが他社との競争になってしまう理由として、ライバルの商品に着目したり、ライバルの商品について研究したりしてしまうからがある。

しかし、本来顧客が欲しているものは「あなたしか提供していない商品」ではなく、「顧客自身が欲している商品」だ。自分がオンリーワンかどうかの前に、それを相手あるいは顧客が望んでいるかを考える必要がある。

 

差別化とは「ほかの商品との違い」または「ほかの商品と比較して優れている点」ではない。「他社商品では手に入らない(できない)けれど、自社の商品では手に入る、それができる」物事を言語化して相手に伝えることである。

 

言葉にしなければならない要素「相手の目的」「その目的が他社商品で手に入れられない理由」「その目的を自社商品がかなえられる理由」を明確にし、定義するとよい。

 

顧客の願望は提供者が言葉にする必要があり、そして願望を言語化することができたら、顧客はその言語化された商品を差別化して認識できるようになる。

 

自社の信頼性の言語化

 

信頼性を相手にわかってもらうために、以下の要素に目を向けるとよい。

 

①これまでの自社実績、成功事例

②自分がその商品を世に広めたい理由

 

価値が提供される理屈の言語化

 

価値を言語化するだけではなく、その価値がどのように実現されるかについても言語化する必要がある。

 

相手に取ってもらいたい行動の言語化

 

「その行為は数値化できているか

「その行為は、誰が見ても、どんな行動をしているかわかるか

「その行為は、誰が見ても同じ行動だといえるか

「その行為は、誰が見ても何をどうするか明確になっているか

について考え、それぞれ言語化する。



以上について気を付ければ、伝えたいことを明確に言語化できる確率が上がるだろう。

 

感想

 

この本を読んで、自分の利益ではなく、相手の立場になって商品をアプローチすることが重要であるとわかった。

まず自分たちが売りたいものではなく、自社の商品が相手のどんな課題を解決するのか、どんな困った状況を改善できるのか言語化できないといけない。だからこそ、最初に価値を言語化する必要があるという考え方は目から鱗だった。

 

また、「なぜ?」を繰り返しても本質は見えてこないという考え方も参考になった。

 

ある問いに対して「なぜ?」を繰り返していくと本質にたどり着く。そのように一般的には言われている。しかし、正しく問いを立て続けるのは難易度が高く、本質にたどり着けないことも多いと本書では述べられている。

 

問いがうまくいく理由として、物理的な物事やトラブルが目の前にあり、考える対象が絞られていたからだという考えは非常に参考になった。

問題やトラブルの原因の中で、妥当なものに焦点を当てなければ、考えを問い続けたところで無意味であるという意見は斬新だった。

 

本書では言語化についての定義や価値などが記されており、ほかにも「起承転結では語らない」「自分の不安と期待に目を向ける」など、特にビジネス場面で有意義な内容が本書には盛り込まれている。

 

興味のある方はぜひ読んでみることをお勧めしたい。

 

出典 木暮太一『すごい言語化ダイヤモンド社 2023年6月

『新しい自分に生まれ変わる「やめる」習慣』を読んで

 

概要

 

目先の快感からついついやってしまい、中長期的にマイナスの影響を与える「悪い習慣」について解説した後、どうすれば悪い習慣を辞めることができるか解説した書籍である。習慣化コンサルタントの古川さんが執筆されている。

 

習慣化への過程として、主に「禁欲期」→「無気力期」→「安定期」→「倦怠期」が挙げられる。

更に内容について詳しく知りたい方は、図書館やあれば書店などで本書を読んでみることをお勧めしたい。

 

 

まとめ

 

そもそも「悪い習慣」とは、自分にとって、中長期的に見てデメリットがあるものを指す。

悪い習慣のデメリットは、大きく五つに分類される。

 

①健康を保てない

②時間が無駄になる

③生活リズムが悪くなる

④セルフイメージが低下する

⑤幸福度が下がる

 

そして、悪い習慣を断ち切るために必要なポイントを紹介する。

 

①一度にひとつの習慣に取り組む

②センターピンとボトルネックを明確にする

③目標達成ではなくプロセスに集中する

 

注意してほしいのは、習慣化は目標達成ではないということだ。

たとえば、ダイエットで5キロ瘦せようとする。目標は達成できたものの、そのあと燃え尽きてしまえばあっという間にリバウンドしてしまうだろう。

しかし、習慣化を身に着ければ、望ましい行動を一定のリズムにして、ほぼ無意識に続けられるようになる。

 

行動の結果より行動自体に焦点を向けてからこそ、長期的に安定した結果を得ることができるのだ。

 

その必要なポイントを踏まえたうえで、「禁欲期」や「無気力期」などといった習慣化の過程について紹介されている。

 

例として、禁欲期によく下がってしまうモチベーションについて、高める方法をまとめてみた。

 

モチベーションが上がる言葉を自分に投げかける

②悪い習慣を辞めた後の理想や夢を描く

行動メニューを具体的に決め機械的にこなす

タイマーを使って最大限集中

アメと鞭を上手に使いこなし、快感や危機感を煽る

⑥毎日行動を振り返る時間をとる。

⑦同じやめたい習慣がある人と切磋琢磨しあう

周りに公言する

 

その他、行動を振り返ったり、なぜうまくいったか考えたり。

また、習慣化したいことをレコーディング(記録)したり、スイッチング行動(代替行動)を取り入れてみたり。

 

ひとつずつ習慣化するための工夫をしていくことにより、徐々に習慣化を生活に取り入れることができるだろう。

 

 

感想

 

自身も小学生のころからインターネット依存症で悩んでいるので、ふと目にしたこの本を手に取ってみた。

 

今までは自身の意志の弱さを何度も嘆いていたが、そもそも「人間の脳は生存本能から、変化に抵抗して現状を維持しようとする」性質があるらしい。そのためシンプルに、意志が弱いから辞められない訳ではないのだと腑に落ちた。

 

また、悪い習慣を断ち切るには、その習慣が引き起こす欲望に打ち勝つ必要があると知った。刺激が欲しい、プレッシャーから解放されたい。孤独から解放されたい。そのような欲求は自身も何度も持ったことがある。

だからこそ、悪い習慣を断ち切れないまま生きてきた人の気持ちも、完全にとは言わないものの理解できる。

 

ただ、やはり辞めたいものはキッパリとやめたい。そのために少しでもヒントが欲しかったので、この本に書いてあったことを実践してみたい。

 

具体的には、「この習慣をやめなければ、こんなデメリットがある」「この習慣をやめればこんな良いことがある」「この習慣をやめることで、将来大きなメリットが得られる」。以上の理由に着目しながら、まずは紙に書きだして、目につきやすいところに貼っておこうと考えている。

 

この本ではやめたい習慣を、先延ばしやネットサーフィン依存などの「行動習慣」、食べすぎや飲みすぎなどの「身体習慣」、そして完璧主義やイライラしやすいなどの「思考習慣」という三つのカテゴリーに分類して、自身の習慣について分析していく視点も参考になった。

 

確かに習慣化は大変だが、まずは自分のできるところから、コツコツ積み重ねていけたらと思う。

 

参考文献 古川武士『新しい自分に生まれ変わる「やめる」習慣』日本実業出版社 2014年1月

『伝え方が9割』感想・まとめ

 

概要

『伝え方が9割』は、コピーライターの佐々木圭一さんという方が執筆された、コミュニケーションに関わる書籍である。

元々文章を書くことが苦手だったらしい彼が紆余曲折しながらも発見した、「伝え方についての技術」が、本書にはふんだんに盛り込まれている。

 

 

まとめ

伝え方のヒントは、主に3つある。

一つ目は「自分の頭の中をそのまま言葉にしない」こと。

自分の頭の中をすべてストレートに伝えても、良い意味でとらえられる可能性は高くないからである。

 

二つ目は「相手の頭の中を想像する」こと。

自分のお願いやメリットを一旦頭の片隅に置き、相手のメリットについてよく考えてみる。

 

三つ目は「相手のメリットと一致するお願いをつくる」ことだ。

 

たとえば「図書館が好き」「本をたくさん読みたい」と思うAさんがいたとする。彼氏であるBさんはストレートに「デートにいきたいです」と言っても、それはBさんのメリットでしかない。

 

そこで、Aさんの好きなことを推測する。今回は「図書館に一緒にいって、本をたくさん読みませんか」と話すとする。

 

余程のことがない限り、Aさんは「よろこんで」と言うだろう。となれば場所は図書館になるが、AさんとBさんのデートは約束される。図書館に行けて本がたくさん読めて嬉しいAさんと、Aさんと一緒にデートに行けて嬉しいBさん。

 

このように、お互いのメリットを見つけて伝え方を工夫すると、よい結果が得られることもある。

 

そして、伝え方の工夫として以下のものが挙げられる。以下の工夫を使うことにより、相手がお願いを呑んでくれる可能性が高くなる。

 

相手の好きなこと……自分の求めることをストレートに言うのではなく、相手の好きなことや興味から作ることにより、相手に「OK」をもらいやすくなる方法。

 

嫌いなことの回避……相手がして欲しくない、いやだと思うことを想像する。「○○は嫌いでしょう。だからやらない選択をしましょう」という切り口。

 

選択の自由……二つ以上相手の好きなことを挙げ、それについてどれが良いか選んでもらう。

 

認められたい欲……相手の認められたい欲を刺激する方法。「下田さんの文章はすごい刺さるんだ。企画書についてもお願いしたいんだけど」等。

 

あなた限定……「あなた」を対象に、お願いする。たとえば「山田さんだけでも教えたいんです」など。

 

チームワーク化……お願いを相手任せにするのではなく、自分も一緒になってやり遂げる。

 

感謝……感謝を述べる。「いつもありがとう」は最大かつ最高の言葉。

 

そして、強いコトバについても本書では述べられている。

 

工夫として伝えたい言葉を決め、それに即したサプライズワードを付け加えるサプライズ法。

「そうだ~」「ほら~」「びっくり~」など。

 

正反対のキーワードを伝えたい言葉の前に置くギャップ法。

 

身体の反応を言葉に加える赤裸々法。

 

同じ言葉を繰り返すリピート法

 

「ここだけの話ですが~」「これだけは伝えたいのですが~」など、いきなり伝えたい話を入れず、クライマックスワードをワンクッション置いて話すクライマックス法などがあり、うまくいけば伝え方ひとつで大きく人々の心を動かすこともできる。

 

あまり書くと盛大なネタバレになるので内容についてはここまで。

ただ、本当に参考になる内容ばかりなので、更に詳しく知りたい方は本書を読了していただきたい。

 

 

感想

一番目から鱗だった内容は「相手の頭の中を想像し、相手に対するメリットを推測する」ことだ。

 

今まで自分は、誰かにお願いをする際自分のことしか考えておらず(どうしたら相手にお願いを受け入れて貰えるのだろうか……)等と考えていただけだった。

 

しかし、自分のメリットしか考えていなければ、相手も「何だなんだ」と身構えてしまう。

 

自分のお願いに対して相手がどう考えるか、そして普段は相手が何を考えているのかを予めしっかり想像し、相手の好みや興味に即した声かけをしていくと良いことが、本書の中で一番腑に落ちた部分である。

 

結局のところ、コミュニケーションは相手あってこそ成り立つのだろう。だからこそ、自分のメリットだけでなく、相手も自分もwin winになれるような切り口からお願いすると、スムーズに話を聞いてくれるのではないかと思う。

 

相手の立場になって視点を変えてみるのは、一番簡単・シンプルなようで、じつは一番大切なことだと考えさせられた。

 

勿論対大人としてではなく、特に「強いコトバ」をつくる5つの技術に関しては、子育て中にお子さんに声かけする際にも使えそうなキーワードもふんだんに含まれていた。

そのため、今後子どもと関わる機会があれば、積極的に工夫して声かけをしてみたい。

 

参考文献 佐々木圭一『伝え方が9割』ダイヤモンド社 2013年2月